うさぎ
「…そっか」

美和がポツリと言う。

電話越しからも悲しんでくれているのが分かる。

もう、あの頃の私と隆之はいないのかもしれない。

変わってくんだ、いろいろ。

私はそう踏ん切りをつけて、部屋の窓を開けた。

きれいな三日月が光輝いていた。

「…真於はどうしたいの?」

美和がそんなことを聞いてきた。

私が、どうしたいか…?

なんて返答したらいいか分からず、私はしばらく黙った。

美和が続ける。

「真於はまだ、隆之の事を好きなの?」





「好き…!」

考えるまでもなくとっさに言葉が出た。

美和が笑ったのが電話越しで聞こえてくる。
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