うさぎ
しかし、美和は堂々とした態度で答えた。

「実は私達、メイクしたことないだよね。今回ここに来たのも、友達が好きな人を振り向かせたいって言うから来てるだけで」

…私のプライベートな事情をばらしちゃうんだね、美和。

田中さんは一瞬驚いた顔をして、そのあとすぐに何かを考え込んだ。

「好きな人を振り向かせるメイク…か。面白いですね。失礼ですがお客様、お名前はなんておっしゃるんですか?」

突然名前を聞かれて驚いたけど、田中さんなら大丈夫な気がして、私は答えた。

なんか、紳士そうだしね。

「逢坂 真於です」

名前を答えると、田中さんはニッコリと微笑んだ。

「逢坂様とおっしゃるんですね」

それから少しためらって、
「逢坂様。よろしければ、私に゛好きな人を振り向かせるメイク゛やらせてもらえませんか?」
と聞いてきた。
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