うさぎ
「真於!今、すっごく可愛いよ!」

ほら、と美和が鏡を取り出して、私に見せた。






―――鏡に写っていた私は、まるで別人だった。






白く透明感のある肌に薄いピンクがベースのメイク。

アイシャドウはピンクとオレンジの中間色で、そんなに強調感はない。

気づけば眉も心なしか整えられていて、綺麗に細くなっていた。

目はいつもよりパッチリとしていて、女の子らしくなっている。

チェリーピンクのチークは白すぎないファンデーションとよくあっているし、唇も、綺麗なピンクのグラデーションが作られていた。

…これなら、隆之を振り向かせることが出来るかもしれない。

私は、鏡に写った私を見て、そう思う。

美和はとても羨ましそうに「いいなぁ。私も田中さんにメイクしてもらいたい」といった。

田中さんの方を見ると、さっきのメイクの影響か、まわりにすごく人が集まっていた。

『すごく綺麗ですよ。好きな人に振り向いてもらえるくらい』
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