うさぎ
私は田中さんの言葉を思い出す。

もしかしたら…、本当に振り向いてもらえるかもしれない…。







週明けの月曜日の朝早くに私は、美和がとっていたメモをもとにメイクをしていた。

…正直、メイク用品一式揃えるのは、財布的に痛かったけど。

完成したメイクは、田中さんほどではないけれど、可愛くできていた。

「これなら…」

隆之を振り向かせることができる。

私は鏡の前で手を組んで祈った。





――どうか、隆之が私を見てくれますように。







いつも通りの電車にのって、学校に着く。

教室に入ると、いつもと違うクラスメイトの視線が私に向けられた。

そのなかで、私の変化にいち速く気づいた響ちゃんたちのグループが私に近づいてくる。
< 51 / 200 >

この作品をシェア

pagetop