うさぎ
私は前と同じように、隆之の前に回り込んだ。

「ど、どうかな、隆之…。メイクしてみたんだけど、に、似合うかな…?」

私は鼻をひくひくさせながら、隆之に聞いた。

恥ずかしくて俯いているから、隆之がどんな顔をしているかわかんない。

でも、私決めたの、隆之の事、諦めないって!



――突然、隆之に力強く腕を捕まれた。



「――え?え?!」

そのまま何も言わず、隆之は進んでいく。

捕まれた腕が痛い。

振りほどこうとしたけど、隆之の力が強くて無理だった。

「隆之!どこ行くの?!」

聞いても返事はなし。

私は、人がいない空き教室に連れてこられた。

「隆之…?」

私が名前を呼ぶと、隆之に勢いよく肩を捕まれ、壁に押し付けられた。
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