うさぎ
真於をこっちに戻ってきて、初めて教室で見たとき、本当は嬉しかったんだ。

小さい頃より、真於は少し可愛くなっていて。

だけど、次に浮かんできたのは、真於に対する罪悪感。

俺は、真於の目を見れなくて顔をそらした。

席も、真於の友達っぽいあの黒髪の人が隣にしてくれたとき、本当だったら飛び上がって喜びたかったけど、今の俺がそんなことしていい立場じゃないって分かってたから、喜べなかった。

あぁ、そのとき、黒髪の人が俺になんか言ってたっけ。

なんて言ってたか、俺がなんて返したか、覚えてないけど。

俺は、自分の手を眺めた。

バスケでゴツゴツとしている俺の手は、もう、幼い日のように小さくも、柔らかくもない。
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