光りの中
5…雅(みやび)
「こんばんは」
「あら、紀ちゃんいらっしゃい」
一週間振りの『雅』だ。
だが、今夜は勝又との待ち合わせでは無い。
何だか真っ直ぐ自分の部屋に帰る気がしなかった。
それに、ひょっとしたら勝又がやって来るかも知れないという淡い期待も少しはあった。
「何だかちょっと飲みたくなっちゃって……」
自分の心の内を隠そうとする為に、言わいでもない言葉を口にしてしまった。
雅子は全てを見透かしたかのように、
「紀ちゃんが好きそうなお酒があるんやけど、よかったら飲まへん?」
「はい」
雅子が後ろの棚から一本のボトルを取り出した。
紀子が見た事の無い銘柄のラベルがボトルに貼ってあった。
「これは?」
「ロンリコっていって、砂糖きびから作ったお酒。コーラで割ると美味しいのよ」
琥珀色の液体をグラスに注ぎ、それをコーラで割った物を作ってくれた。
雅子は割らずにロックグラスにロンリコを満たした。
「ほな、乾杯」
女性の紀子が見ても魅力的だなと感じる笑顔を見せる雅子。
同性でありながら、こうして二人切りでグラスを傾けていると、何だか妙にときめく。
一人で『雅』に来てみたものの、何をどう話しをしていいのか判らず、ただ黙々とラムコークを飲み続けた。
雅子は特に話し掛けて来るという訳ではなく、カウンターの奥で何かを作っている。
「でけた」
紀子の方に顔を向けた雅子の笑顔が堪らなく無邪気で可愛かった。
「紀ちゃん、味見してみい。見よう見真似で初めて作ったんやけど、美味いはずや」
「これは?」
「なんて名前の料理か忘れた。」
照れ笑いも魅力的だ。
つられて紀子も笑った。
トマトで肉を煮込んだ物のようだ。
全体に粉チーズがまぶしてある。
フォークで一口食べてみた。
「美味しい!」
「な、美味いゆうたやろ」
ラムコークの甘さと合う。
雅子は手を腰に当て、ロックグラスを一息に煽った。
「あら、紀ちゃんいらっしゃい」
一週間振りの『雅』だ。
だが、今夜は勝又との待ち合わせでは無い。
何だか真っ直ぐ自分の部屋に帰る気がしなかった。
それに、ひょっとしたら勝又がやって来るかも知れないという淡い期待も少しはあった。
「何だかちょっと飲みたくなっちゃって……」
自分の心の内を隠そうとする為に、言わいでもない言葉を口にしてしまった。
雅子は全てを見透かしたかのように、
「紀ちゃんが好きそうなお酒があるんやけど、よかったら飲まへん?」
「はい」
雅子が後ろの棚から一本のボトルを取り出した。
紀子が見た事の無い銘柄のラベルがボトルに貼ってあった。
「これは?」
「ロンリコっていって、砂糖きびから作ったお酒。コーラで割ると美味しいのよ」
琥珀色の液体をグラスに注ぎ、それをコーラで割った物を作ってくれた。
雅子は割らずにロックグラスにロンリコを満たした。
「ほな、乾杯」
女性の紀子が見ても魅力的だなと感じる笑顔を見せる雅子。
同性でありながら、こうして二人切りでグラスを傾けていると、何だか妙にときめく。
一人で『雅』に来てみたものの、何をどう話しをしていいのか判らず、ただ黙々とラムコークを飲み続けた。
雅子は特に話し掛けて来るという訳ではなく、カウンターの奥で何かを作っている。
「でけた」
紀子の方に顔を向けた雅子の笑顔が堪らなく無邪気で可愛かった。
「紀ちゃん、味見してみい。見よう見真似で初めて作ったんやけど、美味いはずや」
「これは?」
「なんて名前の料理か忘れた。」
照れ笑いも魅力的だ。
つられて紀子も笑った。
トマトで肉を煮込んだ物のようだ。
全体に粉チーズがまぶしてある。
フォークで一口食べてみた。
「美味しい!」
「な、美味いゆうたやろ」
ラムコークの甘さと合う。
雅子は手を腰に当て、ロックグラスを一息に煽った。