光りの中
「山崎さん、凜子姉さんから聞いてた話しと随分違うんやけど」

「こういう話しは最初から言っちゃうと、みんなOKとは言わないからねえ。でもね、今回は本当に良い条件提示なんだよ。
 三浦社長の所は、大手の芸能プロダクションとも繋がりがあるから、ビデオに出て名前が売れれば、テレビ位、直ぐに出れるよ。ひどいAV事務所になると、撮影内容はここ以上にハードなのに、ギャラは半分以下なんてざらだし」

「そんな事を言ってるんやないんです。騙して東京迄引っ張り出すゆう事が納得いかへんのです」

「じゃあ、最初から全部本当の事を伝えたら、それでも来てくれてたかい?」


 山崎の言葉に一瞬詰まった。

 確かに、最初からこういう話しだと判っていたら、のこのこ東京には出て来なかっただろう。

 話しを持ち掛けられた時点できっぱりと断った筈だ。

 今も断る事を前提に話しをしている。

 が、次に出て来た紀子の言葉は、本人自身も驚くような答えだった。


「普通に雑誌のモデルとかやったら、名前が売れるんは嬉しい事やけど、知らん男とエッチな事してるビデオで有名になんかなりたくないし……。顔がばれんのやったらかまへんか……」

「それなら大丈夫、話しは早い。親バレや彼氏バレを心配して二の足踏む子は沢山居るけど、ビデオに出て知り合いにバレる確率なんて、それこそ交通事故に遭う位の低さだから。それに、モザイクきちんと掛けたやつだから、仮にバレたとしても、あれは演技だけで何もしてないって知らん顔すれば、素人には判らないさ」

「それともう一つ」

「他に心配事?」

「さっき、社長さんアタシの事をランクBの上とかゆうてましたけど、評価をランクAにして貰えへんかったら、この話しは受けません」


 紀子の言葉に三浦と山崎は腹を抱えて笑い始めた。


「何が可笑しいの?」

「済まん済まん、君みたいな女の子は初めてだから……笑って悪かった。
 判った、ギャラも扱いもランクAという事で、この仕事を引き受けてくれるかい?」

「ちゃんと内容を教えてくれるんやったら」



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