光りの中


(でなあ、面接したその日にいきなりハメ撮り。今考えても信じられへんわあ)


 受話器の向こうから聞こえて来る声の明るさと、姿月の話しの内容とが不釣り合いで、僕はどう相槌を打ってよいものかと戸惑っていた。

 時計を見ると電話をし始めてから一時間以上経っている。

 彼女と電話をすると、毎回長話しになる。


「今の姿月さんからは想像出来ないなあ……」

(百年の恋も醒めたんちゃう?)

「百年の恋って、そんな……」

(あは、あんた何動揺してんの。まあ、そういう事やから、そんなたかが一度や二度、他所の踊り子と出来ちゃった位で気に病む必要無いと思うよ。佐伯君より数段上手のヤリチン男なんか仰山おるから)

「そんなぁ、ヤリチンだなんて……」

(しかしさあ、佐伯君って、あんなんが好みやったん?)

「もう勘弁して下さい。それよりも、話しを戻しますけど、結局はAVに何本か出て、それでストリップといった流れになった訳でしょ?
 それも、自分の意志ででしたか?」

(最終的な決断は必ず自分の意志に決まってるけど、踊り子になったきっかけも流れと言えば流れやね。AVの冠ついとれば、ポーンてギャラがアップしとった時代やったし)

「時代って言ってもつい最近でしょ?」

(二年も三年も過ぎたらこの業界はえらい変わりようになるんよ。
 アタシかて、デビュー当時は今と違ってブリブリのアイドルストリッパーやったし)



 姿月の話しは踊り子になった当時の思い出話しに変わって行った。








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