鬼課長の魔法の義足。(11/24修正完結済み)

「アハハッ……すまない。ついね。
彼女があまりにも君と似た表情をするから」

「二階堂と……俺がですか?」

どこが?と眉を寄せる課長。
そんな嫌そうな顔をしないで下さいよ……。
私だって似ていると言われて複雑なんですから。
そもそもそこまで似ているとは思えない。

「アハハッ……君と二階堂さんだったかな?
走るのが好きなのだろう。そこが
よく似ていると思ったんだよ」

私が走るのが……好き?

「そんなのここに来ている奴らは、皆そうですよ。
二階堂。上層部は、知っているがその事は、
言いふらすなよ?俺が走ってるのも含めてだ」

「何でですか!?」

そんな凄い人なのに何で言わないのだろうか?
知れば、皆の見る目が変わるのに。
謙虚になっているのかしら?

「俺は、別に自慢したくてやっている訳ではない。
それに中途半端な状態で騒がれても迷惑なだけだ」

中途半端……?
これの何処が中途半端だと言うのだろうか?
むしろストイックで妥協していないぐらいなのに。

意味が分からないと首を傾げると
篠原さんは、それを見てクスクスと笑う。
すると課長は、ハァッとため息を吐いてきた。

「俺の最大の目標は、インターハイで
出した自己最高記録だ。
パラリンピックは、あくまでもその通過点に過ぎない」

えぇっ!?
インターハイで出した自己最高記録?
いやいや、無理でしょう。
いくらなんでも……。

義足で、それだけの記録を出せるとは思えない。
私は、課長の無理な目標に唖然とした。

「お前……今、無理だと思っただろう?」

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