鬼課長の魔法の義足。(11/24修正完結済み)

私は、何が起きたのか分からずに唖然としてしまう。
一体何が起きたの……?

「あんまりそんな顔をするな。思わず
帰したくないと思ってやってしまったではないか」

課長は、私を抱き締めたままそう言って説教してくる。
だが説教と言っても怖いとかではなくて
囁くような甘い声だった。
その声に心臓がドクンッと大きく高鳴った。
全身が震えるような気持ち。

帰したくなくなるって……課長も私と同じ気持ちなの?
もし……そうなら。私は……。

期待を込めて見つめる。
そうしたら課長は、私にキスしてきた。
優しくて甘いキスだった。
時が止まったような不思議な感覚がした。

唇が離れると私を見つめながら
「ウチに……来るか?」と誘ってくれた。

断る理由なんてない。
私は、コクリと頷いた。嬉しい……。
私は、素直にそう思えた。
そして、そのまま手を繋いで課長の住んでいる
マンションに向かった。

歩いて15分に課長の住んでいるマンションが見えた。
普通の何処にでもあるようなマンションだったが
期待と緊張でドキドキしていた。
だって、男性の部屋なんて入ったことがない。
部活ばかりの生活だったから
男性経験とか無かったし、何もかもが初めてだ。

課長に案内されて部屋に入った。
さすが鬼課長なだけは、あって綺麗に整頓されていた。
えっと……この後どうしたらいいのかしら?
あ、シャワーを浴びた方がいいのかしら?
いや、でも自分から言うといかにも期待して
いるみたいだし。うーん。

初めだと何をどうしたらいいか分からなくて
困ってしまう。
ドキドキしながら突っ立っていた。

「二階堂。どうした?
そんなところで突っ立って」

「あ、いや。あの……男性の部屋に入るのは、
初めてでして。
その……どうしたらいいのか分からなくて」

私は、馬鹿正直に話してしまう。
すると課長は、フフッと笑いを堪え始めた。
わ、笑われた!?

笑顔を見せてくれるのは、嬉しいが
これだとただ馬鹿にされているだけだ。
酷い……。

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