鬼課長の魔法の義足。(11/24修正完結済み)
パラリンピック予選大会。
「出場って……まだ選ばれるか分からないだろ?
気が早過ぎだ」
「ご謙遜を……日向さんなら選ばれるのは、
当然ですよ。僕も選ばれるように頑張らないと。
お互いにいい結果を出しましょう」
フフッと笑うとその男性は、手を差し出してきた。
課長もその手を握り返した。
「あぁ、そうだな」
「ところで……隣に居る方は、誰ですか?
若い……女性の声がしましたが。彼女さん?」
するとその男性は、私に気づいていた。
えっ……いつ私が居るって気づいたのだろう?
話しているところを聞いていたのかしら?
私は、驚いていると課長は、
「あぁ、俺の婚約者の結衣だ」と言って紹介してくれた。
課長が婚約者として紹介してくれるのは、
何だか照れくさい。
「あぁ、そうなんですか。日向さんもやるなぁ……。
はじめまして。僕は、松岡桃吾です」
松岡さんという男性は、そう言うと
手を私にも差し出してきた。
見えないから探るような感じで……。
「あ、私は、二階堂結衣です!
よろしくお願いします」
私は、慌ててその手を握り返した。
すると松岡さんは、手を握った状態で
「あぁ、優しくて温かい手をしている。
声も若いから……20代前半ってところかな?
きっと優しくて素敵な方なんでしょうね。
日向さんは、怒りっぽいから色々と
大変ではないですか?
嫌になったら、いつでも僕のところに来て下さい。
歓迎しますよ」
えっ……?
握って声を聞いただけで年齢を言い当てられたのも
驚いたが松岡さんの言葉にも驚いた。
「松岡……人の彼女を勝手に口説くな」