罪と愛情
「お母さん,仕事終わったよ。」

まだ中学生くらいの年齢だろうか、

あどけなさの残る少女が母親に伝える。

乱れた衣服,片手には少女が握るには

とても不自然な金額のお金。

応答のない母親の隣を通って冷蔵庫を漁る。

冷たい麦茶を注ぎ,一気に流し込む。

「あんた,あの客からまだ搾り取れないの?」

無情にも母親が伝える。

「だってあの客,ケチだもん。
そろそろ切っていい?」

少女が答える。

「使えないなら早く次に乗り換えて稼ぎなさい。
身体しか使える物のない子なんだから。」

「また...名前呼んでくれないんだね。」

少女は,母の言葉に顔を歪め

憎しみのこもった声で伝えた。

母親は黙って家を出た。


少女の名前は,紗良(さら)。

中学2年生 14歳

だが,学校には未だ通ったことは無い。
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