夏の宵と林檎飴【短編集】
空を見上げて / episode no.2
大都会、東京。
こんな夜でも車が行き交って、高層ビルには絶えず明かりがついたままだ。
同じ学部の彼氏に別れを告げて数分前フリーになった私。叙情的に言っているけれどそれが全てだ。
大学のキャンパスの屋上から見える景色は、なにもかも“あの場所”とは違っている。
私の“だいすき”がある、あの場所とは。
拝啓、親愛なる私の大好きな幼なじみへ。
ここから見る空は、君が見る空に繋がっていますか?
なにも遮るものはなくて街灯も少ないからか本当に星が降ってくるかのようにたくさん瞬いているあの星空が、今とても恋しいです。