再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
「ねぇ、昨日のこと覚えてる?」
「昨日?あー、ちょっと記憶が曖昧なんだよな。帰ってきてそのまま寝たと思うんだけど。もしかして、何かやらかした?」
気まずそうに聞いてくる。
はぁ?
私にキスしたことは覚えてないっていうの?
テツのことを意識している私がバカみたいじゃない。
わざわざキスのことを言って思い出されても恥ずかしい。
覚えていないなら、あれはテツは酔ってたし、犬に噛まれたとでも思うようにしよう。
そうじゃないと私が意識しすぎて変な態度を取ってしまいそうだ。
そのせいで、ギクシャクしても嫌だし。
それより私はあの女の人のことが気になった。
だけど、あからさまにそのことに触れるのは出来ない。
「別に何もしてないけど、どうやって帰ってきたかは覚えてる?」
「あー、店を出てタクシーに乗って帰ろうとしたら、取引先のやつも同じ方向だからって勝手に乗り込んできて……部屋までついてきた気がする」
それは覚えてるんだ。
でも、そこから掘り下げる勇気はなかった。
もう、この話は終わりとばかりに話題を変える。
「朝ご飯、食べれる?和食にしようと思うんだけど」
「もちろん。あー、腹減った。髪乾かして着替えてくる」
そう言うと、洗面所に髪の毛を乾かしに行った。
その間にみそ汁を作りながら魚を焼く。
二日酔いにはしじみ汁がいいという話を聞いたことがあるけど、残念ながらしじみは買ってない。