再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
その日の仕事を終え、事務所を出る。
今日はテツがグラタンが食べたいと言っていたので、帰りに足りない材料を買おうとスーパーへ寄った。
レジで支払いを済ませて買い物袋を手にスーパーを出ようとした時、人の視線を感じた。
誰だろうと周りを見ていたら、買い物かごを手にした女性と目が合った。
「あなたは……」
嫌な物でも見るように険しい表情で私の前にやって来たのは、テツが酔って帰ってきた時に一緒にいた人だ。
どうしてこんな場所で会うんだろう。
「この前、哲平の部屋にいた人よね」
「そうですけど」
「あなた、哲平とどういう関係?」
唐突にぶつけられた言葉に苛立ちを覚える。
怯んだら負けだとばかりに、真っ直ぐに彼女を見つめた。
「いきなりどういう関係と聞かれても、ほぼ初対面のあなたに答える必要はないと思いますけど」
まずは自分の名前を名乗ってからっていうのが筋でしょ。
「確かにそうね。私は堂島まゆ。哲平の高校時代の彼女よ」
テツの高校時代の彼女?
一週間ぐらいで別れたって聞いてるけど。
何でその元カノが私に話しかけてくるんだろう。
「夏木です。一応、テツの幼なじみですけど」
「幼なじみ……」
堂島と名乗った女性は私を観察するような視線を向けてくる。
黒髪のショートボブ、切れ長の意思の強そうな瞳に、ぽってりとした唇には真っ赤な口紅が塗られていた。
背も高く、モデル体型で少し癪にさわる。