再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
洗剤を洗い流すため、お湯を出そうと水栓に手を掛けると頭上からお湯が降ってきた。
考え事をしてイライラしていたからなのか、なぜか私はシャワーヘッドを手に持っていなかったのだ。
「うわーっ!」
驚きのあまり大声を出してしまった。
慌ててお湯を止めたけど後の祭り。
私は全身びしょ濡れになっていた。
何やってるんだろう。
はぁ、とため息をついていたらバタバタと足音がし、洗面所のドアが開いた。
そこから血相を変えて飛び込んできたのは、スーツ姿のテツだった。
「美桜、大丈夫か?叫び声が聞こえたけど何があったんだ?」
「あ、お帰り」
「お帰りじゃねぇよ、ってどうしたんだ?びしょ濡れじゃないか」
私の姿を見てテツが驚いている。
「いや、お風呂掃除していてシャワーヘッド持たないままお湯を出しちゃったんだよね」
「何やってんだよ。心配しただろ」
「ごめん。それよりお腹空いてるよね。すぐにグラタンを温めるから」
盛り付けは全て終わっていて、後はオーブンで焼くだけにしていた。
テツが帰る時間に合わせてセットしようと思っていた。
「そんなのは後でいい。濡れたままじゃ風邪をひくかもしれないからそのまま風呂に入れ」
「でも、それじゃグラタンが出来るのが遅くなっちゃうよ」
約十五分はオーブンで焼かないといけない。
焼いている間にスープとかは温められるから、と段取りを考える。