再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
「グラタン、久々に食べたけど美味いな」
スプーンを手に嬉しそうに言う。
そんな顔で言われたら、こっちまで嬉しくなるし作ってよかったと思える。
「美桜の手料理を食べたら外食なんてしたくなくなるな」
「そんなことないでしょ。どう考えてもレストランとかで食べた方が美味しいよ」
「俺にとっては美桜の手料理が一番だよ」
お世辞だと思うけど、そんな風に言ってくれるのは悪い気はしない。
でも、一番というのは褒めすぎで照れくさい。
「テツは口が上手いね」
「嘘じゃねぇよ。美桜は大変だと思うけど、俺は毎日美桜の料理を食べれるのはありがたいし、感謝しているんだ」
「大変じゃないし、料理をするのは好きだから……」
照れを隠すように呟いた。
そもそも、住むところから就職先までお世話してもらって感謝しているのは私の方なのに。
テツは今日も残さず食べ、「ごちそうさま」と手を合わせたあと、食器をシンクに運んでくれた。
これがいつもの流れになっていて、テツと過ごす毎日が当たり前になっている。
お皿を洗いながら、リビングのソファに座っているテツを見た。
堂島さんに会ったことをテツに言おうか迷ったけど、結局言わなかった。
二度と会うことはないだろうし、面倒なことになっても嫌だなと思ったからだ。
堂島さんに言われたことを思い出す。
好きか……。
そろそろ自分の気持ちと向き合わないといけない。
「じゃあ、風呂入ってくる」
バスルームに向かうテツの後ろ姿を見ながら小さく息をはいた。