再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~

「俺が好きなのは美桜だけだ」

ハッキリ告げられた言葉に胸の奥がギュッと締め付けられる。

テツはゆっくりと顔を近づけてきた。
キスされる、と思いギュッと目を瞑ると唇にテツの吐息が触れた。

だけど、しばらく経っても何も起こらない。
いや、別に何か起こるのを期待していた訳じゃないんだけど。
脳内で言い訳をしていたら、テツが小さく息をはいた。

「あのさ、そうやって無防備に目を閉じないでくれる?俺を受け入れてくれてるって勘違いしそうなんだけど」

その言葉を聞いて目を開けると、コツンと額を合わせてきた。

条件反射で目を瞑っただけで、そんなつもりはなかったんだけど……。
でも、よく考えたら嫌なら拒否すればいい。
それをしなかったのはなぜ?
もう、自分の中では答えは出ている。

幼い頃、私はテツのことが好きだったけど、あの卒業式の暴言からテツのことを嫌いになった。
再会してからのテツは、私のことを一番に考えてくれていた。
困ったことがあると助けてくれたり、守ってくれている。
そんなテツの優しさに触れ、私の心は揺れ動いた。

私はもう一度、テツのことを好きになっていたんだ。
この気持ちを誤魔化すことは出来ない。

「美桜の気持ちを聞かせて欲しい」

テツは少し距離を取ると私を真っ直ぐに見つめてきて、ドクンと心臓が跳ねる。
私は気持ちを落ち着かせようと深呼吸して口を開いた。
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