再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
対決、そしてこれからもずっと
「美桜ちゃん、お昼行かない?前に話してたラーメン屋に行こうと思うんだけど」
松崎恵利さんが私の席まで来て声をかけてくれた。
歓送迎会の時、緑さんに〝松ちゃん”と呼ばれていた女性だ。
「行きます!でも、このファックスを送らないといけなくて、後から追いかけるので先に行っててください」
一枚の紙を持って席を立つ。
すぐにファックスを送ってくれと営業の人に頼まれたので、それを優先しないといけない。
だから、恵利さんを待たせるわけにはいけないと思ったんだけど。
「えー、寂しいこと言わないでよ。別にラーメンは逃げないから待つよ」
「いいんですか?すみません。すぐに送ります」
「謝らないでよ。私が一緒に行きたいだけだし。あと、焦らないでいいよ!送り先を間違えたら困るしね」
茶目っ気たっぷりに笑う。
「ありがとうございます。ちゃんと確認して送ります」
番号を確認し、ファックスを送ると自分の席に戻り机の上を片付ける。
「お待たせしました」
財布の入ったバッグを持ち、恵利さんのもとへ駆け寄った。
「全然!じゃあ、行こうか」
二人並んで会社を出る。
私がこのデザイン事務所で働きだして一ヶ月経った。
どうにか会社の雰囲気にも慣れ、同僚の人とも少しずつだけど仲を深めている。
恵利さんは私より三歳上のデザイナー。
面倒見がよく、緑さんの次に仲良くなった人だ。