再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
おばさん曰く、おじさんは若い頃は痩せていてイケメンだったらしい。
今はお腹がポッコリ出て、ちょっと太り過ぎって感じだけど。
結婚後二十五キロ以上太ったとのことで、おばさんは『詐欺だ』とよく嘆いている。
「あなた少しは運動したら?このまま丸くなったら歩くより転がる方が速いかもね」
「そうかな。でも、みーちゃんと並んで歩きたいからなぁ」
嫌味たっぷりに言われてもおじさんは笑っている。
「だったら少しは痩せる努力をして!太りすぎは身体にも悪いんだから」
「そうだね」
何だかんだ言いながら、おばさんもおじさんの身体のことを心配している。
結果、この二人は仲がいい夫婦だ。
洗い物が終わり、濡れた手をタオルで拭いてから帰り支度をする。
遅番だったから、最後の片付けまでやって今日の仕事は終了だ。
「お疲れさまでした」
挨拶をして裏口から外へ出て表に回る。
ふとお店の前に車が止まっているのに気づく。
セダンタイプのシルバーの車だ。
多分、車を止めて電話でもしてるんだろう。
帰ろうと歩き出したら、車のドアが開く音が背後で聞こえた。
「美桜」
空耳だろうか。
私の名前を呼ぶ低くてよく通る声は最近聞いた覚えがある。
足音が近づき、まさかと思いながら振り返ると長身の男性がゆっくりとこちらに向かってきていた。
その人物は、先日弁当の配達先で会ったテツだった。