再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~

***

「美桜ちゃん、悪いんだけど会議室の片付けお願いしてもいい?」

「はい、分かりました」

副社長に頼まれ、返事をする。
会議室から打ち合わせを終えた人達がゾロゾロと出てくる。
みんなが出るのを待ってから片付けをしよう。

「あ、それともうひとつお願いがあって」

「なんでしょうか?」

「来週の金曜に弁当が必要なんだけど、美桜ちゃんが前に働いていた弁当屋で注文してもらってもいい?あそこの弁当は美味しくて好評だから」

「もちろんです!」

おじさんの味を褒められ嬉しくなる。

「メニューって分かる?」

「はい。ネットでも見れるので」

私はスマホを取り出し、ブックマークしていたホームページを開く。
お弁当のメニューのところをタップしていたら副社長がスマホを覗き込む。

「へぇ、たくさん種類があるね。前は緑ちゃんにお任せだったから」

耳元で副社長が喋り、その近さにドギマギしてしまう。

「あの、よければ……」

手に持っていたスマホを副社長に渡そうとしたら、バシッと何か叩く音が聞こえた。

「イテッ」

副社長が頭を擦りながら離れた。

「哲平、何するんだよ」

「なにって、お前が近すぎたから」

「だからって叩くことないだろ、叩くことは!」

シレッと答えるテツに副社長は恨みがましい視線を向ける。

「美桜、今日の晩飯は食べて帰るか?」

テツは副社長がそばにいるにも関わらず、私に話しかけてきてギョッとした。
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