再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
「ナツキさん、久しぶり」
口許に笑みを浮かべていたけど、目は全く笑っていなかった。
「弁当屋、急に辞めて驚いたよ。君に会えるの楽しみにしていたのに。どうして辞めたの?」
「それは……」
答えようとして声が震えた。
私が辞めてもお弁当を買いに来ていたとおばさんから聞いていた。
だから私が目的じゃなかったはずじゃ……。
「ナツキさん、ずっと君を探していたんだ。毎日君のことを考えて過ごし、君が行きそうな場所にも通っていた。なかなか見つからなくて、諦めかけた時にこうして再会出来た。これはもう運命だと思うんだ」
ジリッと距離を詰めてくる。
「運命の再会を果たしたことだし、このあと食事でもどう?」
「ごめんなさい。約束があって……」
「誰?この前、居酒屋で一緒にいた子?」
「ち、違います」
「じゃあ誰?」
鋭い視線を投げかけてくる。
恐怖で声が出ない。
「まぁいいや。ナツキさんとゆっくり話がしたかったんだ。ちょっと僕の相手をしてよ」
そう言うと、ベンチに座っていた私の左の手首を掴むと強引に引っ張った。
「痛っ」
「あまり手荒な真似はしたくないんだ。叫んだり逃げようなんて考えは捨てて、おとなしくついてきて。余計なことをしたら、僕、何をするか分からないよ」
斉藤さんは掴んでいた腕にグッと力を込め、私は痛みで顔を歪めた。
逃げることも出来ず、誰かに助けを求めることも出来ない。