再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
私は恐怖に震えながら斉藤さんについていくしかなかった。
着いた場所は駅から少し離れた人通りの少ないコインパーキング。
街灯もまばらで少し薄暗い。
もしかして、車に乗せられてしまうかもしれない。
それだけは絶対に避けないといけない。
「斉藤さん、どこに行くんですか?」
「君と二人きりになれるところ」
「私、約束があるんです」
「そのことだけど、今日はキャンセルしてもらって」
「それは無理です。どうしてこんなことを……」
「全部君が悪いんだろ!」
急に声を張り上げた。
「僕に黙ってあの弁当屋を辞めたから。突然辞めたと言われて僕は絶望した」
悪意を込めた目で私を見つめてくる。
「それも今日で終わりだ。やっと君に再会出来たんだから。君が黙っていなくなったことは許してあげる。さぁ、車に乗って」
助手席のドアを開け、私に乗るように催促する。
身の危険を感じ、私は必死に抵抗した。
「嫌です」
掴まれている手を振りほどこうとしたけど、斉藤さんはニヤリと口の端をつり上げる。
「無駄な抵抗だよ。君と僕とじゃ力の差があり過ぎる」
掴んでいた手にさらに力を入れてきて、爪が皮膚に食い込んだ。
とにかく逃げ出さないといけない。
私は掴まれていない反対側の手に持っていたバッグを斉藤さんに向かって力いっぱい振り上げた。
「うっ」
バッグが斉藤さんの顔面に直撃し、ダメージを与えることが出来た。
その勢いで斉藤さんの足元がふらつき、私の腕は解放された。