再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
「うるさい!ナツキさんはナツキさんだ。彼女は僕の恋人になる人だ」
「えっ?」
斉藤さんの口から飛び出した言葉に目を見開いた。
「何言ってんだよ。俺が言ったことが聞こえなかったのか?」
「お前こそいい加減なことを言うな。ナツキさんは僕のことが好きなんだ」
「お前、妄想も大概にしろよ」
「妄想なんかじゃない!いつもナツキさんは笑顔で僕に仕事頑張ってと励ましてくれた。僕のことを好きな証拠だ」
「なんだそりゃ。そんなの誰にでも言うだろ」
テツは呆れたように呟く。
「そんなことはない。僕にだけだ。そうだよね、ナツキさん」
私に視線を向けてくる。
この人は何を言ってるんだろう。
理解に苦しむ。
だけど、私の言動が斉藤さんを勘違いさせてしまっていたんだ……。
どうしたらいいのか分からなくなっている私にテツは冷静に言った。
「美桜、ハッキリと言ってやれ。じゃないとこいつの為にもならないし、ずっと勘違いしたままで、この先も付きまとわれるぞ」
それだけは嫌だ。
私はテツの腕を握ると、大丈夫だというようにその手をポンポンと撫でてくれた。
私は気持ちを落ち着けようと深呼吸した。
「斉藤さん、申し訳ないけどあなたに特別な感情はありません。誤解させるような態度を取った覚えはないけど、そんな風に思われたのなら謝罪します。すみませんでした」
誠心誠意謝罪し、頭を下げた。