再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~

薄暗く落ち着いた雰囲気で、ジャズが流れている店内。
席はカウンターの十席のみ。
カウンターの奥の棚には、いろいろな種類のお酒のボトルが綺麗に並んでいる。
こんなお洒落なバーに足を踏み入れたのは初めてだからソワソワしてしまう。
店員は、さっきテツが話をしていた三十代後半ぐらいのイケメンと少し若めの男の人の二人だ。

「失礼します。ピーチフィズです」

目の前のコースターの上にグラスが置かれた。
置いてくれたのは若い方の男の人だ。

「ありがとうございます」

グラスを持ち口をつける。
うーん、甘くて美味しい。

お酒はあまり強い方ではないけど、飲む事は好きだ。

「大ちゃん、もう慣れた?」

「お陰さまで少しは。でも、まだまだ未熟者なのでしっかり勉強させてもらってます」

「朔斗さん、厳しいだろ」

「そんなことないですよ。丁寧に教えてくれてますから」

「ホントかよ」

大ちゃんと呼ばれた店員と話しているテツをチラリと盗み見る。
やっぱり端正な顔立ちをしている。
子供の頃の記憶しかなくて、こんな大人の男性の色気を纏ったテツには違和感しかない。
バーの雰囲気も相まって全然知らない人みたいだ。
道端でバッタリ会っても間違いなく気付かないと断言できる。
私だってそれなりに変わってると思うのに、よくテツは気付いたよね。
気付いてくれなくてよかったのに!と脳内で愚痴を言いながらお酒を飲む。
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