再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
こんなバーの常連なんて、テツは私とは違う世界で生活していたんだろうな。
もう、私の知っているテツではないんだと改めて思う。
私は頼んだピーチフィズが美味しくて飲み干した。
この勢いで話を聞いて用件を済ませようと思い口を開く。
「話って何?」
「飯を食べ終わってからでもいいか?」
私が切り出した時、ちょうどテツの頼んだパスタが出来上がったところだった。
何も食べてなくてお腹が空いていると言っていたので、仕方なく了承した。
テツが食べている間に私はカクテルのおかわりをした。
「すみません、スクリュードライバーお願いします」
「美桜、ちょっとペースが早いんじゃないのか?」
「そんなことないよ。テツは早く食べなよ」
心配そうに言うテツに笑いながら答える。
このバーのカクテルは全て六百円。
美味しいからいろんな種類を飲んでみたくなる。
財布には七千円は入ってたと思うから支払いはできる。
私はスクリュードライバーを飲みつつマスターと話をしていた。
パッと見は無口なのかな?と思っていたけど、すごく話しやすくて、優しい人だった。
結婚しているとのことで、その証拠に左の薬指には指輪がはめられていた。
「すみません、シャンディーガフ下さい」
「美桜、顔とか赤くなってないか?」
パスタを食べ終わったテツが気遣わしげな表情で私を見る。
「飲んだらすぐに顔に出るだけで、全然大丈夫よ」
お酒を飲んで顔が熱くなるのはいつものことだ。