再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
私は母親の妹夫婦が営んでいる『和田さん亭』という惣菜店で働いている。
惣菜の量り売りや弁当を扱っている店だ。
従業員はおばさんとその旦那さん、調理師免許を持っている男性従業員とパートの女性が三人と私の七人だ。
店の規模は小さいけど、近くにはオフィスビルやマンションもあり、たくさんの人に利用してもらっている。
テーブルに惣菜をのせた大皿が並び、日替わりメニューや定番の物など三十種類の惣菜を作っている。
最近は会議用や行楽用、イベント用など予約弁当の配達も始めた。
これが好評で徐々に弁当の注文が増えている。
とある五階建てのオフィスビルの駐車場に車を止めた。
弁当の入った保温ボックスを手に持つ。
うちの店は保温ボックスに弁当を要れて配達している。
オフィスビルには保険会社、不動産会社、デザイン事務所、旅行会社などの会社が入居しており、私が目指すのは『水上デザイン事務所』だ。
エレベーターに乗り、デザイン事務所のある三階で降りた。
目的の会社の前に着きインターホンを押すと、女性の声が聞こえた。
「和田さん亭です。お弁当の配達に参りました」
『少々お待ちください』
ほどなくして、対応してくれたであろう女性が現れた。
ゆったりめの服を着ていて、少しお腹も大きくて妊婦さんなんだろうなというのが分かる。
「中へどうぞ」
入るように促され、オフィスに足を踏み入れた。
会議室に通されると、机にはお茶が並べられていた。
どうやら、お弁当以外の準備は出来ているようだった。