再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
「シャンディーガフです」
「ありがとうございます」
テツがいきなり私の目の前に置かれたシャンディーガフの入ったグラスを遠ざける。
「何するのよ」
「話があるって言っただろ。これはその後だ」
お酒を取り上げられムッとしたけど、本来の目的を思い出しおとなしく従った。
テツは咳払いし、ポケットから何かを出してカウンターの上に置いた。
えっ……?
桜の飾りのついたピンだ。
どこかで見た気がするんだけど……ってこれ!
ハッとして隣に座っているテツを見た。
「これ、覚えてるか?」
「私の、だよね」
確認するように聞くと、テツは頷いた。
この桜のピンは私が小学校の卒業式の時に付けていた物だ。
テツの暴言を聞いて思わずピンを投げつけてしまったから、なくなってしまったと思っていたのに……。
「あの時のこと、ずっと謝りたかった」
テツは真っ直ぐに私を見つめた。
「ホントにごめん。あんなことを言って美桜を傷付けるつもりはなかったんだ。あの日、いつもと違う髪型を見てクラスの男どもが可愛いって騒いでいたんだ。美桜の可愛さは俺だけが知っていればいいのに……って思ったらムカついて心にもないことを言ってしまったんだ」
バツが悪そうに目を伏せる。
私はサラリと言われた言葉に耳を疑った。
テツが私のことを可愛いと思ってくれていたなんて驚きだ。
子供の頃のこととはいえ、嬉しいやら照れくさいやらで何だかくすぐったい気分だ。