再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
「あれは完全な八つ当たりだ。言ってしまった言葉は取り消せない。だから謝らないといけないのは分かっていたけど、美桜と面と向き合うことが怖かった。でも、時が経てばその気持ちも和らぎ謝れると思っていた。だけど、中学一年の夏に美桜は引っ越してしまい、それが叶わなくなった。謝るチャンスはいくらでもあったのに、どうしてもっと早く勇気を出して謝らなかったんだと後悔した。願掛けじゃないけど、このピンを持ってればいつか会えるかもと思って大事に取っておいたんだ」
テツは桜のピンを手に取ると私の方へと差し出した。
「そして、会えたら謝罪してこのピンを返そうと思っていた」
なくなってしまったと思っていた桜のピンをテツが十年以上も大事に持っていてくれた。
もう錆びていて髪の毛に飾ることは難しいけど……。
懐かしい気持ちでそのピンを見つめる。
テツの想いを聞き、いろいろ考えた。
テツも自分の言ってしまった言葉を後悔していた。
十何年も……。
言われた私も悲しかったけど、こうして謝罪してくれて胸のつかえが取れ、スッキリとした気持ちになった。
何より、あの桜のピンをずっと持っていてくれていたことでテツの言葉を素直に受け入れることが出来た。
「ありがとう。謝ってくれたから許してあげる」
ピンを受け取り私が笑顔で答えると、テツは安堵の息をはいていた。
私はお預けされていたシャンディーガフを飲んだ。
少し温くなってたけど。