再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
「それって……」
彼女はいないけど、身体だけの関係の人はいたってことだよね。
「わー、テツ最低」
「最低でもなんでもいいよ。数年前のことだし、心が伴わない行為は何の意味も持たない。俺が心から欲しいと思った女は一人だけだから」
真剣味を帯びた眼差しで言う。
テツがそんな風に想う人って誰なんだろう。
気にはなったけど、ふわふわした気分の私は考えることを放棄した。
「じゃあ、テツの家に行こう!」
フラついた足で椅子から降りた。
バッグから財布を出そうとしたら、手が滑ってそのまま床に落としてしまった。
しゃがんで拾おうとしたら、テツに止められた。
「この酔っぱらいめ!お前は少しおとなしくしとけ」
テツは財布を拾い私に持たせた。
そして自分のポケットから財布を出して支払いを済ませた。
私もお金を払わなきゃ、と酔った頭で考える。
「あのー、おいくらですか?」
「お代はいただいてます。またのお越しをお待ちしています」
マスターに聞くと、ニッコリと笑って答える。
「えっ?」
「ほら、行くぞ」
テツが私の腕を掴み、バーの外へと出る。
あれ、お金を払わずに出てきてしまった。
「テツ、私お金払ってないよ」
「俺が払ってるから大丈夫」
「何で?」
「今日は俺の奢り。それより、美桜。本当に俺の家に来るのか?」
「うん、行く。途中でお酒買って行こうね」
「……」
私は浮かれ気分でテツの車に乗る。
だけど、そこからの記憶ははっきりせず曖昧なものだったーーー。