再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
「ここの弁当や惣菜は美味しいから、一度食べたらまた食べたくなるんですよね。だから僕もハマって買いに来ているんです。あっ、この前弁当と一緒に買った明太子入りの玉子焼きを食べたんですけどすごく美味しかったです」
「ホントですか?ありがとうございます。そう言っていただけてすごく嬉しいです」
私はさっきの違和感も忘れ、思わず笑みがこぼれる。
自分が考案したメニューだったのでテンションが上がる。
私の様子を見たサラリーマンはフッと口許を緩めた。
「あなたのそんな表情が見れるなんて僕はラッキーだ。この弁当を食べて昼からも仕事が頑張れそうです」
サラリーマンはお釣りと購入した弁当を受け取ると笑顔で言う。
お客さんの生の声を聞けるのは今後のメニュー考案の参考にもなる。
この店のお弁当や総菜を食べて笑顔になってもらったり美味しいと言われるのは心の底から嬉しくなる。
年に数回、おばさんからメニューを考えてみないかと打診がある。
それからあれこれ考えて試作品を家で作り、納得が出来たものをおじさんたちに食べてもらう。
それでお店に出してもいいと判断されると、私が考案した惣菜が店に並ぶ。
もちろん作るのはおじさんたちだけど。
こちらこそ、ヤル気を与えてくれてありがとうございますという気持ちを込めて口を開く。
「お仕事、頑張ってくださいね」
サラリーマンは私の言葉に嬉しそうに目を細め「ありがとう」と言って店を後にした。