再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
その日の夜、仕事が終わり駅までの道のりを歩く。
私の通勤手段は徒歩、電車、自転車だ。
お店から駅までは徒歩で約十分。
そこから電車に乗って十分で最寄り駅につく。
駅から私が住んでいるアパートまで自転車で五分だ。
今日は早番だったので、十八時半に店を出た。
この時間帯は、歩いていると仕事帰りのサラリーマンやOLとすれ違う。
駅が目前に見えた時、バッグの中のスマホが震え、軽快な着信音がかすかに聞こえた。
立ち止まってバッグの中を漁りスマホを取り出すと画面にはテツからの着信を知らせる文字が表示されていた。
再会した日にテツと連絡先を交換し、それから毎日のようにメッセージのやり取りをしている。
その時に決まってテツは私の仕事の終わる時間を聞いてきた。
遅番の時は帰るのが遅くなるから心配だとか言って。
今まで何年もこのスタイルでやってきているのに、急に心配されるのは変な感じでムズムズする。
私はというと、ことあることにあの夜のことを思い出してしまい気まずくて仕方ない。
だけど、テツはその事に触れることは一切ない。
順番が逆だったことを気にしているのか、テツは私との心の距離を縮めようとしているのが会話の端々で感じる。
覚悟しとけよとは言っていたけど、あの夜のことは一度リセットして最初から関係を築き直そうとしている。
テツのそんな真摯な態度に、私もちゃんと向き合うべきなのかもと思い始めている。