再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~

***

はぁ、疲れた。
三件目の配達を終え、ため息をつく。
最後は五階建てのマンションの五階の家で、子供の誕生日パーティで子供用のお弁当やオードブルの注文があった。
タイミングが悪いことに、マンションのエレベーターが点検中で階段を使用しないといけなかった。
これがホントにしんどかった。
普通に階段をのぼるだけでも大変だけど、お弁当の入った保温ボックスを抱えてだったので足だけじゃなく腕にも負担がかかった。
配達先のマンションを見上げてため息をつき、腕をさする。

日頃、運動なんてしていない私にはかなりのダメージだ。
配達は力のある男性の方が向いてるのかも知れない。
明日、筋肉痛になるかもなんて考えながら車に乗り込んだ。

配達先から戻り、店の前にある駐車場に車を止めた。
そこには五台車が止めれるように区切ってあり、その中の一台は配達専用と書かれている。

保温ボックスを持って店の裏口から入ろうとした時、声をかけられた。

「ナツキさん!」

えっ、と思いながら振り返ると斉藤と名乗ったサラリーマンがうちの店で買ったであろう弁当の入ったビニール袋を手に持って立っていた。

「今日は配達だったんですね。店にいないからそうかなって思っていたんです」

どうして斉藤さんがわざわざ裏口まで回ってきてまで私に声をかけてきたんだろう。
裏口は従業員専用なんだけど……。
斉藤さんの行動に疑問をもった。
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