再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
「へぇ、いろんな種類のお弁当とか扱っているんですね。美味しそう」
女性社員の人は興味を持ってくれたのか、メニュー表を見ながら話す。
「ご予算に応じて準備することも出来るのでお気軽に連絡して下さい」
「そうなのね。またゆっくりパンフレットを見せてもらいますね」
「ありがとうございます。それでは失礼します」
女性社員の人に見送ってもらい、デザイン事務所を後にした。
エレベーターホールに向かって歩いていると、背後から誰かを呼び止める男性の声がした。
「ねぇ、君。ちょっと待って」
周りに人の気配はしない。
もしかして私のことだろうか?
さっきの会社の人からお金はピッタリもらったし、領収書も渡したから特に問題はないはずなんだけど。
振り返ると、先ほど会議室で会った男性がいて目が合う。
やはり私のことを呼び止めたんだ。
不思議に思いながらも声をかけた。
「あの、何か?」
「……美桜だろ、夏木美桜」
いきなり私の名前を呼ばれ、思わず眉間にシワが寄る。
どうして私のことをこの人が知っているんだろう。
警戒しつつ口を開く。
「そうですけど、あなたは?」
「俺のこと、忘れたのか?」
「えっと……」
誰だろう。
目鼻立ちの整った端正な顔で、艶やかな黒髪は緩くパーマをかけているように見える。
長身で濃紺のスーツを身にまとい、人目を引くような容姿の人だ。
その辺のアイドルも顔負けのイケメンで王子様みたいだ。