再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
こんな格好いい人が私の知り合いの中にいただろうか。
学生時代は高校も短大も女子ばかりで、あまり男性に免疫がある方ではない。
悲しいかな、今までの人生で男性との接点はほとんどないに等しい。
だから、記憶の糸を辿ってみたものの、思い当たる人物がいない。
「マジで分からないのか?」
何も言えないでいたら、目の前の男性は不機嫌な表情で私を見る。
そんな顔されたら覚えていない私が悪いみたいなんだけど。
そもそも、ここまでのイケメンだったら一度見ていたら忘れないと思う。
ギブアップとばかりに謝罪した。
「すみません」
目の前の男性は大きくため息をついた。
そして、グッと私との距離を詰めてきて自分の名前を口にした。
「鳴海哲平」
えっ、今何て?
ナルミテッペイ?
その名前には聞き覚えがあった。
でも、その存在は私の中で封印した人物の名前。
出来れば二度と会いたくなかった人だ。
私は顔をひきつらせながら一歩後ずさった。
「その顔は思い出したみたいだな。約十二年振りの再会……になるのかな」
そう言って不敵な笑みを浮かべる姿を見て私は目眩がした。
鳴海哲平、私の幼なじみだ。
私の家の近所に鳴海哲平こと、テツが住んでいた。
初めて会ったのは公園の砂場だった。
私が砂遊びをしていると、バケツの中にスコップとか砂遊び道具を手にした子が母親と手を繋いでやってきた。