再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~

小学校の卒業式。
学校に行くと、教室のドアの前に数人の男子が群がっていた。

「どうかしたのか?」

その中の一人に声をかけた。

「なんかさぁ、夏木がいつもと違って可愛いんだよ」

夏木?
おい、それって美桜のことじゃねぇか!
教室の中を覗くと、普段とは違う美桜の姿がそこにあった。
いつもは邪魔にならないようにするためなのか、髪の毛を結んでいる。
だけど、今日は髪の毛をおろしていて前髪だけピンで留めている。
超可愛い。

「な!いつもの活発なイメージと違って可愛いだろ」

は?お前が言うな。
美桜の可愛さなんて俺だけが知ってればいいんだよ。
そんな気持ちが胸の奥に渦巻いたまま卒業式に出た。

式が終わり、クラスメイト達が写真を撮っている。
さっき、美桜のことを可愛いと言っていた男もどさくさに紛れて一緒に写真を撮っていた。
俺のイライラは最高潮。
美桜のそばまで言ってあり得ない暴言を吐いてしまった。

「お前、何デコ出してんだよ。ブスなんだから顔を隠せば」

美桜の表情が一気に曇り、ギュッと唇を噛みしめている。
そして、髪の毛に留めていたピンを俺に投げつけ、その場から走り去ってしまった。

本当はこんなことを言うつもりはなかった。
可愛かったと言いたかったし、俺だって美桜と一緒に写真を撮りたかった。
俺の身勝手な言動で美桜を傷付けてしまった。
後悔先にたたずとはこのこと。
周りの奴らも俺に冷ややかな視線を向けてきた。
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