再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
「ちょっと鳴海!なんてことを美桜に言うのよ。あんたマジで最低!」
美桜の友達の村山さつきが睨みながら怒りの声をあげる。
そんなの自分が一番よく分かっている。
「いくら幼なじみだからって言っていい事と悪い事の区別ぐらいつくでしょ!二度と美桜に話しかけないで!」
そう言って村山は美桜のあとを追いかけた。
周りを見ると、野次馬たちはあからさまに視線を逸らす。
俺は投げつけられたピンを拾うと、その場を後にした。
「哲平、何やってんだよ~」
一人歩いていたら背後から声をかけられた。
俺の友達の長瀬貴臣だ。
そんなの言われなくても分かってる。
全部、俺が悪いんだ。
「バカだな~、落ち込むぐらいなら最初からあんなことを言うなよ。早く謝って仲直りしろよ」
俺は黙って頷いて、貴臣と並んで歩いて家に帰った。
苦い小学生の記憶……。
本当にガキ過ぎて恥ずかしいやら情けないやら。
こうして美桜に再会できたのは本当に運命なんじゃないかと思った。
あの日、事務所の会議室にいた女性を見て驚いた。
一目見た瞬間、美桜だと気づいてヤバイぐらい心臓が早鐘を打つ。
最後に美桜を見たのは中一の夏、その頃よりずっと大人びて綺麗になっていた。
美桜は俺のことには全く気づいていない。
名前を告げると、あからさまに拒絶の色が目に浮かぶ。
それでも、どうにかあの時のことを謝りたかったし、桜のピンを渡したかったけど、タイミング悪く逃げられてしまった。