再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~

何がどうしてこうなったんだろう。
酔っているのか美桜は俺の家で飲み直そうと言い出した。
コイツは言っている意味を分かっているのか?

返事を曖昧に濁すと、俺に彼女がいるから家に呼べないんだと言う。

彼女か……。
そういう存在はいない。
高校三年の時、文化祭の企画でミス&ミスターコンテストがあり、俺は不本意ながらミスターに選ばれてしまった。
ステージに上がるように言われ、渋々それに従った。

ステージ上でミスに選ばれた同じクラスの女子と付き合えというヤジが周りからおこった。
その女子も断ればいいのに、「鳴海くんと付き合いたい」なんて言う始末。

全校生徒の前で断るのも酷かと思い、形だけでもというつもりでその場を乗りきった。
次の日から、すっかりその気になった女子が一緒に帰ろうだの、昼も一緒に飯を食べようだのとベッタリとくっつき彼女面。
ミスコンに選ばれるぐらいだから、容姿端麗で人気もある。
だけど、申し訳ないが俺の心は微塵も動かない。
自分の中でいつまでたっても、美桜の存在が消えることはない。

我慢できなくなった俺は、別れを切り出した。
嫌だと泣かれてしまったが、その女子に気持ちがないのに付き合い続けることはどうしても出来なかった。

そのあとは彼女という存在を作ることなかったが、言い寄ってくる後腐れのない相手と身体だけの関係はあった。
過去のこととはいえ、美桜に最低と言われて確かにその通りだと思う。
だけど、心が伴わない行為は俺にとっては何の意味も持たないんだ。
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