再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
「何で?」
キョトンとした表情で聞いてくる。
「美桜のことが好きだから付き合いたいと思ってるんだけど。美桜は俺のこと、好き?」
「うーん……テツのこと、昔は好きだったけど今は再会したばかりだから分かんない」
「だったらキスしてみる?」
「どうして?」
「嫌いなヤツとキスできるか?」
「出来る訳ないじゃん」
「だろ。もし、キスが出来たら美桜は俺のことを好きかも知れないだろ」
バカなことを言っている自覚はある。
断られるとは思うけど、どうしても美桜に俺のことを意識して欲しかった。
それなのに、美桜は……。
「いいよ」
そう言って目を閉じた。
嘘だろ。
酔っているからなのか?
目の前の状況に戸惑いながらも、美桜の唇に触れるだけのキスをした。
「あれ?全然嫌じゃなかった。人の唇ってこんなに柔らかいんだね。もう一回してもいい?」
無邪気にそんなことを言う。
待ってくれ。
これ以上、キスなんてしたら止まれる自信はこれっぽっちもない。
「いや、それはちょっと……」
「どうして?テツ、私のことを好きって言ったけど嘘なんでしょ」
俺が言い淀むと美桜は頬を膨らませて不機嫌に言う。
クソ、人の気持ちも知らないで。
「あのさ、俺は美桜のことが好きだからキスだけで止まれない。キス以上のこともしてしまうかもしれない。それでもいいのか?」
頼むから断ってくれ。
そんな俺の願いも虚しく美桜はキスを選択した。