再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
私はあまりの可愛さに目を奪われた。
名前を聞いたら、まさかの男の子でそこらへんの女の子より可愛かった。
もちろん、私よりも……。
公園で会えば一緒に遊ぶようになり、同じ幼稚園にも通った。
控えめな性格のテツは、いつも私の後ろをついて歩くような子だったけど、小学校高学年になると、それが一変。
可愛かった顔はイケメンに、控えめな性格はどこへやら。
文武両道のクラスの人気者になっていた。
そんなテツの周りには常に人が集まり、学校では私が近寄れる雰囲気ではなくなった。
だけど、家の近所で会えば短いながらも会話はしていたから、幼なじみという関係はこの先もずっと続くと思っていた。
あの日まではーーー。
小学校の卒業式、少し長くなった前髪を桜の飾りのついたピンで額が見えるようにとめて学校に行った。
この桜のピンは去年の誕生日プレゼントに両親に買ってもらったものだ。
すごくお気に入りで、大切な日に使おうと思っていたんだ。
卒業式が終わり、みんなで写真を撮っていた時にテツが私のそばにやって来て「お前、何デコ出してんだよ。ブスなんだから顔を隠せば」と吐き捨てるように言った。
言われた瞬間、頭の中が真っ白になった。
どうしてあんな酷いことを言われないといけないんだろう。
私は悔しくて悲しくて、前髪につけていたピンをテツに投げつけその場から逃げ出した。