再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~

「明日は仕事でしょ。早く寝なよ」

動揺を誤魔化すようにテツの手からドライヤーを奪う。
寝室へ行くように促したんだけど、テツは呆れたように壁に掛けている時計を指差す。

「まだ二十一時過ぎなんだけど」

「えっ?」

時計を見たら、確かに二十一時十五分だった。
そりゃ、こんな早い時間から寝ることはしないよね。
テツは私の顔を見て、まだ寝ないよと笑う。

「ふぅん、そう」

勤めて冷静に振るまい、ドライヤーを片付けに洗面所に向かった。

洗面台の鏡を見ると、ノーメイクの私の顔が映る。
初めはテツの前でノーメイクの顔を見られることに抵抗があった。
だけど、ずっとメイクしている訳にもいかなくて、お風呂から出た時に顔を隠すように俯いて歩いていた。

それを見たテツに「これからずっと下を向いて生活するのか?美桜の素顔なんて子供の時から見てるし、正直今もあんまり変わらないぞ」と鼻で笑われた。

挙げ句、「前に化粧が剥げた顔見てるし、いちいち変なことに気を遣っていたらストレスが溜まって生活なんて出来ないだろ。素を見せていいんだよ。別にお前がおならをしたって美桜への気持ちは変わらないし」なんてこっちが恥ずかしくなるようなことまで言われた。

そこまで言われたら開き直るしかないでしょ。

テツだって寝起きはボサボサの頭だし、好き嫌いもあるし、脱いだ服は裏返しだし、一緒に生活するようになってからダメな部分も見た。
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