再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
***

「えっ?鳴海と一緒に暮らしてるの?」

さつきは驚きの声をあげた。
金曜日の夜、さつきと晩ご飯を食べる約束をした。
今まで行ったことのないイタリアンバル『リゾミュール』を予約した。
店内は開放感あふれるテラス席、オープンキッチンの前にはカウンター席があり、テーブル席も多数ある。
私たちは奥のテーブル席へと案内された。
もちろん、周りに見知った顔はいないかチェック済みだ。
前に外食先で斉藤さんに会ったことがあるので、私よりさつきの方が目を光らせていたけど。

コース料理を注文し、運ばれてきたバーニャカウダを食べながらさつきにテツの家で同居していることを話した。

「うん。なりゆきでテツにも斉藤さんのことを話すことになって。やっぱりテツもストーカーかも知れないって言うんだよ。追い打ちをかけるように、私の最寄駅とかアパートを知られていたらどうするんだとか言われたら怖くなるでしょ。それで、テツが俺のところに来いって強引に」

「ふぅん。でもさ、俺のところに来いってまるで嫁に来いとか言ってるみたいね」

「な、なに言ってんのよ」

さつきに言われ、思わず口に入れた野菜が飛び出るところだった。

「だってそうでしょ。好きでもないただの幼なじみにそんなこと言わないでしょ。あっ、そうか!やっと謎が解けた。鳴海は美桜のことが好きなんだ。確か、卒業式の時に美桜と一緒に写真を撮ろうとか言ってクラスの男子が群がってた記憶がある。なるほど、あの暴言はヤキモチからだったのか」

さつきは納得したように頷く。
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