再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~

「は?今、何て言った?」

「だから、新しい就職先を探そうかと思ってるの」

晩ご飯を食べ終え、リビングでくつろいでいたテツに話を切り出した。
家主でもあるテツに言わないといけないと思ったんだけど、私の言葉にあからさまに険しい表情になった。

先週、さつきと話をしてから、改めて私はテツに甘えっぱなしだと思った。
家事だけして居候っていうのは、どうも居心地が悪い。

「おばさんに聞いたんだけど、斉藤さん。あのサラリーマンは普段通りお店に弁当を買いに来ているみたいなの。だから、ストーカーとかいうのは私の勘違いだと思う」

「どうしてそう言い切れる」

「どうしてって……。だって、私があのお店を辞めてるって聞いても弁当を買いに来てるんだよ。私が目的じゃなかったってことでしょ」

ストーカーかもと勝手に思い込み、自意識過剰も甚だしい。

「それでね、無職のままテツに甘える訳にはいかないから、私も働こうと思ったの」

「あてはあるのか?」

「ない。だから、これから探すんだよ」

テツは私の言葉を聞いて、よかったと呟く。
何がよかったのかと思っていたら、テツが質問してきた。

「美桜、パソコンとか使えるか?」

「人並みには使えると思うけど」

「だったら、俺が働いているところに来るか?」

「テツが働いているところってあの?」

私が一度、配達に行った会社のことだよね。
簡単に来るかって、テツはそんな勝手なことを言える立場なんだろうか。
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