再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
五階建てのオフィスビルの三階『水上デザイン事務所』の前に立つ。
この前、配達に来た時とは状況が違い、緊張で足が震える。
深呼吸して気持ちを落ち着かせる。
「美桜、入るぞ」
テツが私の背中をポンと優しく押し、ドアを開けて足を踏み入れた。
「おはようございます。あっ、竹之内さん、社長もう来てますか?」
「鳴海くん、おはよ。社長はまだ出社してないよ。あら、あなたは……」
テツに声をかけ、私に気付いたのはお腹の大きな女性だった。
「おはようございます。面接に来ました、夏木美桜といいます。よろしくお願いします」
頭を下げた。
「おはよう。竹之内緑です。こちらこそ、よろしくね。社長はもうすぐ来ると思うから。鳴海くん、社長室で待ってもらうようにして」
「分かりました。ありがとうございます。美桜、行こう」
テツがエスコートするように私の背中に手を添えて歩き出す。
それを見た竹之内さんが目を細めた。
「あらあら、仲がいいのね」
「そう見えます?今、頑張ってアタック中なんですよ。竹之内さんも応援してくださいね」
な、なんてことを言うんだ!
恥ずかしすぎる。
「若いっていいわね。私が言うのもアレだけど、鳴海くんは優良物件よ。仕事は真面目だし女遊びもしている風じゃないし、何よりイケメンだからね」
「さすが竹之内さん!もっとプッシュしてくださいよ」
「あら、鳴海くんは私がプッシュしないと自信がないのかしら?」