再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~

「そんなことはないですけど、外堀を埋めることも大切かなと思って」

テツは不敵に笑った。

「鳴海くんは策士なのね。これからが楽しみだわ」

竹之内さんは楽しげに笑った。
この二人、似た者同士なのかもしれない。

社長室に通され、緊張がピークに達していた。

「そんなにカチコチにならなくても大丈夫だよ。普段通りでいいから」

そうは言っても無理な話だ。
高級感のあるソファに座り、キョロキョロと視線をさまよわせていたら、社長室のドアが開いた。

「おはよう」

快活な声が聞こえ、ショートカットの女性が入ってきた。
五十代ぐらいの年齢だけど、綺麗に年を重ねたキャリアウーマンといった感じだ。

「社長、おはようございます。こちらが以前、話していた夏木美桜さんです」

「初めまして。夏木美桜です。今日はよろしくお願いします」

ソファから立ち上がり、深々と頭を下げた。

「初めまして。ようこそ、水上デザイン事務所へ。私が社長の水上桜子です」

握手を求められ、私は右手を差し出した。

「どうぞ、座って」

「失礼します」

再びソファに座り、バッグから履歴書を取り出して社長に渡した。

ノックの音のあと、社長室のドアが開き竹之内さんがお盆にお茶をのせ入ってきた。
私と社長の前にお茶を置き、「鳴海くんはいらないでしょ」と言い社長室を出た。

履歴書に目を通しながら社長が口を開く。

「夏木さん、名前に桜がつくのね。美しいに桜……素敵な名前ね」

名前を誉められ嬉しくなる。
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