再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
私の今の服装は白のポロシャツを着ていて、胸のところには『和田さん亭』とお店のロゴが付いている。
だから私が弁当屋だと思ったんだろう。
正確には惣菜店だけど。
ちなみに、お店では白とオレンジのチェックのエプロンと三角巾をつけているけど配達の時は取っている。
「そんなことはいいですから、早く会社に戻ったらどうですか?」
「冷たいことを言うなよ。あの鳴海の知り合いの女の子だろ。興味があるに決まってるだろ」
「変なことに興味をもたないでください」
テツの上司であろう人との会話が続く。
もしかしなくても私は放置されてる?
今がチャンスかもしれない。
「それでは失礼します」
私は軽く頭を下げるとそそくさとエレベーターに乗り、≪閉≫のボタンを押した。
「あっ、美桜待って」
私がエレベーターに乗ったことに気づいたテツが慌てて声を出したけど時すでに遅し。
エレベーターのドアが閉まり、テツの声は聞こえなくなった。
私はエレベーターの壁にもたれ安堵の息を吐いた。
あの上司の人が戻ってきてくれてちょうどよかった。
もし、またここに入っている事務所に配達があったらどうしよう。
誰かに代わってもらえたらいいんだけど……。
今、車を運転出来る人材がほとんどいない。
この先、お弁当の配達も増えそうだからおじさんに相談してみよう、なんて考えながらエレベーターを降りた。