再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
『おい、どういうことだ!』
電話越しにテツの怒った声が聞こえ、耳がキーンとなった。
バス停に着き、バスから降りて歩いている時にテツから着信があった。
緑さんから私が帰ったということを聞いて、速攻で電話をかけてきたらしい。
「どういうことって、今日はもう帰ってもいいって言われたから帰ったんだけど」
『お前はバカなのか?バカだろ!帰る前に連絡しろって言わなかったか?』
「言われたけど、仕事中だし邪魔したら悪いかなと思って……」
何度もバカとか酷い言われ様だ。
私はテツのことを考えてのことだったのに。
『仕事中でも何でも連絡しろよ。お前、ストーカーのことを忘れた訳じゃないだろうな』
「忘れてはないけど」
『だったら、もっと危機感を持て。一人でフラフラ歩いていてそいつと出くわしたらどうするんだ』
「昼間だし、向こうも仕事をしてるから大丈夫だよ。それに、前のお店とデザイン事務所は距離的にも離れているから遭遇することはないと思うよ」
前に車で配達した時にお店から会社までは十五分ぐらいかかった。
だから、そう簡単に会うことはないと思う。
私の言葉に電話の向こうでテツがため息を吐くのが聞こえた。
『そうかも知れないけど、帰るなら帰ると一言連絡してくれ』
「うん。ごめんね。次からはちゃんと連絡する」
テツの声色から私を心配してくれているのが伝わってきた。
だから、私は素直に謝罪の言葉が出た。