再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~

『それならいいけど』

「テツ、心配してくれてありがとね」

『……。はぁ、ホント美桜はズルイよな。まぁそういうところが可愛いんだけど』

か、可愛いって……。
サラリとそういうことを言わないで欲しい。
あー、耳が熱い。

「きょ、今日の晩ご飯は何がいい?」

強引に話題を変えた。
帰り道、テツのリクエスト次第ではスーパーに寄って買い物が出来る。

『ごめん、今日は急遽接待が入ったんだ。そのことも伝えたくて』

「そうなんだね、分かった」

緑さんにテツは営業をしていると聞いた。
さっき、出掛けていたからその時にでも決まったんだろう。

『少し遅くなるかもしれないけど、戸締りちゃんとしろよ』

「分かってるって」

子供に言い聞かせるみたいなんですけど。

「テツも仕事頑張ってね」

『ありがと。じゃ、気を付けて帰れよ』

「うん。じゃあね」

電話を切り、スマホをバッグにしまった。
そっか、今日は一人なのか。
一緒に住むようになって、テツの部屋のスペアキーを預かっている。
出掛ける時はいつもテツと一緒だったので、この鍵を使うのは初めてだ。

あの部屋で一人晩ご飯を食べるのは少し寂しいかも……って何考えてるのよ!
今まで一人暮らしをしていたけど、寂しいなんて感じたことはなかった。

テツと一緒に過ごすようになって一人が寂しいと思うなんて……。
テツの存在が自分の中で大きくなっていることに戸惑いを覚えていた。
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