君はアノコと私はアイツと
屋上にて。

私たちの方が早く着いたらしく、誰もいなかった。

斐は彼女を迎えに行くと言って、お昼すぐに教室を出て行ったので屋上待ち合わせにした。

「じゅー、実はね斐のぶんのお弁当作って来たんだぁ。」

実は彼女には負けたくなかったから、たまに作ってあげるお弁当で差を見せてあげようと思った私は斐の大好物をひたすらに詰め込んだお弁当を作って来た。

「やるやん!見せつけてやれい!」
「うん!」


けど、私の戦意はすぐに喪失するものとなった。


「お待たせ!」

斐が彼女を連れて屋上へ来た。

「斐ー!こっちー!」

隣が彼女さんかな・・・?


え・・・?


あ・・・?


え・・・?


嘘・・・。


「じゅー・・・。もうダメかも・・・。」
「いや・・・。私も想定外・・・。」

二人して呆気にとられた。

だって・・・。


「えっと、彼女の里穂さんです。」

私たちのとこに来るなり彼女を紹介してくれた斐。

「初めまして、山本 里穂(やまもと りほ)です。」

黒髪ロングが似合う、そしてかけているメガネが真面目だと感じさせられる。

想像と違いすぎて、反応に迷った。

「はっ・・・初めまして斐の幼馴染の久住夢桜です。」
「友達の紺谷朱梨です。」

私は今までちょっと派手目の女の子が好きだと勝手に思っていた。

だから茶髪にしてたし、スカートだって短くしてた。

けど、意味なかった。

彼女は学級委員長をしているらしい。

学級委員長をしている彼女と、何も委員会に入っていない私。

正反対な彼女。

「夢桜、お弁当・・・出さないの・・・?」

黙っていた私にじゅーが声をかけてきた。

「あっ、斐!あのね・・・」

私が斐に声をかけようとした時に、

「斐くんっ!実はねお弁当・・・作ってきたの・・・。よかったら・・・。」

「え!!ありがとー!嬉しい!」

斐はくしゃっと笑って彼女からお弁当を受け取った。

そんな笑顔私に向けて欲しいのに。

私は悔しくて悔しくてたまらなかった・・・。

私の方が斐と長い時間一緒にいたのに、なんでって。

嫌な方向に考えてしまう。

私の今までの努力はなんだったんだろう・・・。



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